黒井緑朗のひとりがたり

きままに書きたいことを書き 云いたいことを云う

二月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)

歌舞伎座の第二部は、ひさしぶりの片岡仁左衛門・坂東玉三郎の共演が話題の二演目。 『於染久松色読取』は二〇一八年三月におなじ玉三郎のお六、仁左衛門の喜兵衛で上演された。「莨屋」「油屋」の二場の前に、今月は「妙見」の場がつけくわえられた。全体に…

寿初春大歌舞伎第二部(歌舞伎座)

年が明けた歌舞伎座は、先月までの四部制をあらため三部制となった。それぞれ短い休憩をはさんで二演目づつ。第二部の初日を観る。 『夕霧名残の正月』が意外といっては失礼ながらなかなかのよい舞台である。 ひとつには、昨年十一月に亡くなったばかりの坂…

コロナ禍での会食は何人までに制限すべきか

国民には5人以上の会食を控えるように要請しておきながら、みずからは毎日のように夜の会食をつづけている菅総理大臣に批判があつまっている。政府がしめした5人という人数が説得力をもっていないため、批判が殺到するのは当然と言える。 西村経済再生相は1…

十二月大歌舞伎第三部(歌舞伎座)

師走の歌舞伎座にならんだ演目のうち、唯一の義太夫狂言が第三部の『傾城反魂香』いわゆる「吃又」である。台本・演出の完成度もたかく、おおくの名優が素晴らしい舞台をのこしてきた名作。 猿之助の女房おとくはこれまでにも、松本白鸚や中村鴈治郎を相手に…

十二月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)

新型コロナウイルスに翻弄された今年ものこるところひと月。師走の歌舞伎座も再開以来の四部制である。その第二部をまずは観る。 『心中月夜星野屋』は二年前の納涼歌舞伎に初演された新作歌舞伎。昨年は金丸座で、そして今年は歌舞伎座でと、新作としては異…

『異邦人の庭』(演劇専用小劇場 BLOCH)

昨年名古屋で初演された刈馬カオスの『異邦人の庭』を、札幌劇場祭TGR2020参加作品としてOrgofA(オルオブエー)が上演。最終日11月29日の昼公演を観る。傑作の戯曲と、それにふさわしい名演であった。 上演時間60分のこの作品は、ある死刑囚と彼女を取材す…

小田尚稔『罪と愛』(アゴラ劇場)

小田尚稔の演劇を前回観たのは、新型コロナウィルスの影響でつぎつぎと舞台公演が中止になっていた3月。8か月を経て、あのころとおなじように感染者が急増しつつあるなかで観ることになった今回の舞台は、タイトルからわかるようにドストエフスキーの『罪と…

十一月歌舞伎公演第一部『俊寛』(国立劇場)

国立劇場第一部は吉右衛門の『俊寛』が「清盛館」つきで上演。 いつもは「鬼界ヶ島」の場のみの上演だが、俊寛が流刑の島にひとりで残る決心をするきっかけとなる妻・東屋の悲劇を「清盛館」で見せておくことで、いっそうドラマの構造が明確になる。のちに瀬…

十一月歌舞伎公演第ニ部『毛谷村』(国立劇場)

今月も国立劇場は二部制で、それぞれ現代を代表する名優が本格な舞台を見せている。第二部は片岡仁左衛門が六助を演じる『毛谷村』である。 いつも上演される「六助住家」の前に、今月は「杉坂墓所」の場が出る。ここは話の筋をとおすだけのなんということも…

十月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)

四部制で再開して三ヶ月目の歌舞伎座。その第二部を観る。 『双蝶々曲輪日記』のうちでも屈指の名場面である「引窓」が先月上演されたのにつづき、今月は松本白鸚、松本幸四郎で「角力場」が出る。演劇的なドラマというよりも相撲取りの意地と格を見せるこの…