黒井緑朗のひとりがたり

きままに書きたいことを書き 云いたいことを云う

猿若祭二月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

猿若祭と銘打った二月の歌舞伎座は、十八代目勘三郎の十三回忌追善興行で、最近の歌舞伎座ではめずらしいほどの王道の古典作品が昼夜にならぶ。 昼の部は『野崎村』から。人間国宝級のベテランが演じる『野崎村』もよいが、中村鶴松が初役で演じるおみつがな…

『ODESSA』(東京芸術劇場プレイハウス)

三谷幸喜作・演出の『ODESSA』を観る。三谷とってはひさびさの新作舞台ということだが、結果から言えば作品、演出すべてにおいて高水準の出来にこころからの拍手。正直なところ、近年の三谷幸喜の舞台はどこか間延びしたものもあり、役者のそれぞれのノリに…

寿初春大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

につかわしくないほど重厚な(そしてしばしば子供の首がちょん切られる)演目がなぜかならぶことのおおい初春の歌舞伎座だが、じつにさっぱりと軽めの演目がならぶ。深夜の初詣もさほど寒いとも思えない、今年の正月らしいと言えなくもない。 『荒川十太夫』…

十二月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)

昨年初演されて話題となった『荒川十太夫』につづく、講談を原作とする新作歌舞伎の第二弾『俵星玄蕃』の初演。尾上松緑が中心となるこのプロジェクトは、赤穂義士外伝としてシリーズ化されていくのだろう。『荒川十太夫』も来月さっそく再演されるというこ…

十二月大歌舞伎第一部(歌舞伎座)

新開場した歌舞伎座の十周年の記念したこの一年、その最後をかざるにふさわしい破壊力をもった演目だ。中村獅童と初音ミクによる超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』のことである。 この作品について、いまさら画期的だというつもりはない。この超歌舞伎シリーズはこ…

『妹背山婦女庭訓』第二部(国立劇場)

前月にひきつづき『妹背山婦女庭訓』の通し上演で、今月は後半の「道行」「御殿」「奥殿」「入鹿討伐」である。国立劇場もこれで閉場となる。 「道行恋苧環」は尾上菊之助のお三輪、中村梅枝の求女、中村米吉の橘姫という顔合わせ。初役となる梅枝の求女には…

錦秋十月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

十月歌舞伎座昼の部の初日を観る。なかでも山田洋次の脚本・演出でリメイクされた『文七元結物語』がどのような舞台になるのかが見もの。その外題を見ればわかるように、これはいわゆる『文七元結』ではない。ここまでおおきく書き換えるのであれば、外題を…

『妹背山婦女庭訓』第一部(国立劇場)

初代国立劇場さよなら特別公演と銘打って、二ヶ月連続して『妹背山婦女庭訓』を上演する。今月はその前半部分の半通し。中村時蔵の定高と尾上松緑の大判事、中村梅枝の雛鳥、中村萬太郎の久我之助という、いずれも初役揃いの顔合わせが見もの。しかし「吉野…

秀山祭九月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

二代目中村吉右衛門が亡くなってから、二度目となる秀山祭の季節がやってきた。吉右衛門三回忌追善と銘うたれた公演である。 『金閣寺』は中村米吉の初役となる雪姫が予想以上に素晴らしい。米吉はそのキャリアのはじめの頃は天性のかわいらしさに併せて古風…

劇団アンパサンド『地上の骨』(三鷹市芸術文化センター星のホール)

劇団アンパサンドの『地上の骨』の二日目を観る。作・演出は安藤奎。 舞台中央にはたくさんの書類と文具が置かれた丸テーブル。その上手下手にはそれぞれおなじような長机(正確に言えば互い違いにならべられたひとり用の机なのだが)があり、閉じられたノー…