黒井緑朗のひとりがたり

きままに書きたいことを書き 云いたいことを云う

歌舞伎鑑賞教室『封印切』(サンパール荒川)

中村鴈治郎という役者は、父・藤十郎がなくなってから年々その父親に似てきたように思う。老けから敵役までさまざまな役を演じる鴈治郎がひさびさに演じる『封印切』とあっては、観ておかなければならない。 とはいえ前半の忠兵衛はいまひとつ。花道からでて…

六月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)

五代目中村時蔵が初代中村萬壽に名をあらため、『山姥』でその披露となる。近松門左衛門の『嫗山姥』は八重桐の廓話で有名だが、そこから派生したもの。のちの坂田金時になる怪童丸とその母・八重桐(山姥)とを主役に据えた常磐津舞踊である。 萬壽の山姥は…

六月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

六月の歌舞伎座は六代目中村時蔵襲名興行。萬屋一門にとってはもちろんのこと、歌舞伎界にとってきわめて重要な名前の継承である。くわえて五代目時蔵の中村萬壽襲名、六代目時蔵長男の五代目中村襲名もあわせて披露される。 昼の部のはじめは『上州土産百両…

團菊祭五月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

昼の部では市川左團次一年祭追善ということで、市川男女蔵が『毛抜』の粂寺弾正を演じる。上演時間がみじかいわりに面白い見せ場もあり、歌舞伎十八番のなかでは上演されやすい演目。とくに当代團十郎が海老蔵時代からかなり頻繁に取りあげている。男女蔵は…

團菊祭五月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)

團菊祭夜の部は『伽羅先代萩』から。 「御殿」では、初役以来数年ぶりに演じる尾上菊之助の政岡が見ものである。とくに栄御前を送りだしてひとりになってからの充実ぶりが傑出している。「後にはひとり」で花道で見送ったのを確認して息を吐くが、いささかも…

四月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

昼の部は名作『双蝶々曲輪日記』の「引窓」から。 中村梅玉の与兵衛は、このひとらしく自然な演じ方。きわめて自然にさらさらと進行して、「とかく二階が心許ない」などもいっさい張ることなく、前半は拍子抜けするほどのあっけなさ。しかしさすがに、手水鉢…

三月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

昼の部は見ごたえのある演目がならび、それぞれ面白い舞台になっている。 最初は『寺子屋』である。尾上菊之助はある時期より女形から立役へと、そのとりあげる役の比重をおおきくシフトしてきた。遠くない将来なされるであろう八代目尾上菊五郎襲名をみすえ…

三月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)

『伊勢音頭恋寝刃』の通し。いつもは「油屋」と「奥庭」だけの上演だが、まれにに通して上演されることもある今作。結論から言えば、やはり「油屋」ははまった役者を得たときに、いまだその価値を失わない名作であるという話である。 通しとなった場合に問題…

猿若祭二月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)

猿若祭と銘打った二月の歌舞伎座は、十八代目勘三郎の十三回忌追善興行で、最近の歌舞伎座ではめずらしいほどの王道の古典作品が昼夜にならぶ。 昼の部は『野崎村』から。人間国宝級のベテランが演じる『野崎村』もよいが、中村鶴松が初役で演じるおみつがな…

『ODESSA』(東京芸術劇場プレイハウス)

三谷幸喜作・演出の『ODESSA』を観る。三谷とってはひさびさの新作舞台ということだが、結果から言えば作品、演出すべてにおいて高水準の出来にこころからの拍手。正直なところ、近年の三谷幸喜の舞台はどこか間延びしたものもあり、役者のそれぞれのノリに…